先日、私が企画したフラワーイベントでの、心温まるワンシーンからお話しさせてください。
初めてアレンジメントに挑戦したある女性が、ご自身で完成させた作品を手に、そっと涙を流されたのです。
「お花と向き合う時間が、こんなにも自分を癒してくれるなんて思いませんでした」
その言葉と表情に、私自身も胸が熱くなるのを感じました。
あなたも、「花のある暮らし」に、ふんわりとした憧れを抱いていませんか?
でも、何から始めたらいいか分からなかったり、自分におしゃれに飾れるか不安だったり…。
そのお気持ち、とてもよく分かります。
この記事は、かつてのその女性のように、最初の一歩を踏み出したいと願うあなたのための、心強いガイドです。
フラワーイベントコーディネーターとして15年間、花と人の素敵な出会いを見つめてきた私が、初心者の方でも失敗しない、心ときめく花の楽しみ方を具体的にお伝えしますね。
花と関わる楽しさが、いつか「仕事にしてみたい」という夢に繋がることもあります。
もしフラワーコーディネーターになるにはどうすれば良いか興味が湧いたら、こちらの詳しい解説記事がとても参考になりますよ。
目次
なぜ今「花のある暮らし」が心を豊かにするの?
忙しい毎日の中で、ふと心が疲れてしまうことはありませんか?
そんなとき、一輪の花がそっと寄り添ってくれるだけで、不思議と心が安らぐものです。
イベントで出会った、花がもたらす魔法の瞬間
私が主催するワークショップでは、いつも素敵なドラマが生まれます。
最初は緊張した面持ちで花を選んでいた方々が、茎にハサミを入れ、葉に触れ、香りに包まれるうちに、だんだんと表情が和らいでいくのです。
まるで、花が微笑みかけるように、参加者のみなさんの心もふわりと開いていく。
そんな「魔法の瞬間」を、私は何度も目にしてきました。
実は、花がもたらす癒やしの効果には、科学的な裏付けもあるのですよ。
花を眺めることで、私たちの脳はリラックス状態になり、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンが減少するという研究結果もあるほどです。
花はただ美しいだけでなく、私たちの心と体に優しく働きかけてくれる、頼もしいパートナーなのですね。
空間コーディネーターが語る「一輪」が変える空気感
プロの視点からお話しすると、たった一輪の花でも、お部屋の空気感をがらりと変える力を持っています。
テーブルの隅に小さな花瓶を置くだけで、空間に彩りと生命感が生まれ、いつもの景色が特別なものに感じられるから不思議です。
それは、暮らしに「季節」を取り入れることでもあります。
春にはチューリップ、夏にはヒマワリ、秋にはコスモス…。
季節の移ろいを花で感じることで、日常はもっと豊かになります。
そして何より、花を飾るという行為は、「自分自身を大切にする時間」を持つきっかけになるのです。
誰のためでもない、自分のために花を選び、飾る。
そのささやかなひとときが、心を潤し、明日への活力を与えてくれます。
最初の一歩は「心ときめく一輪」との出会いから
「さあ、花を飾ってみよう!」と思っても、いざ花屋さんに行くと、何を選べばいいか迷ってしまいますよね。
でも、大丈夫。
難しく考える必要はまったくありません。
初めての花屋さん、気負わずに楽しむための3つの心得
ワークショップの生徒さんから、「花屋さんはなんだか敷居が高くて…」というお声をよく聞きます。
そんなあなたに、気負わずに楽しむための3つの心得をお伝えしますね。
- 「初めてです」と素直に伝える
これが一番の近道です。店員さんは花のプロですから、初心者にぴったりの、扱いやすくて素敵な花をきっと紹介してくれます。 - 飾りたい場所と予算を伝える
「リビングに飾りたいのですが、1,000円くらいで何かありますか?」のように具体的に伝えると、よりスムーズにおすすめを提案してもらえますよ。 - 「ピンときた子」を信じる
理屈ではなく、「なんだかこのお花、気になる」「この色が好き」という直感を大切にしてください。その「心ときめく一輪」こそが、あなたの暮らしを彩る最高のパートナーになります。
プロが実践する、長く楽しめる花の選び方
イベントでたくさんの花を扱う私が、市場で仕入れをするときに必ずチェックするポイントがあります。
それは、まるで新鮮な野菜を選ぶような感覚です。
- 葉をチェック!:葉がシャキッとしていて、みずみずしい緑色のものを選びましょう。葉が黄色くなっていたり、しなびていたりするものは避けるのが無難です。
- 茎をチェック!:茎が硬く、しっかりしているかを確認します。茎の切り口が茶色く変色していない、きれいなものが新鮮な証拠です。
- 花びらをチェック!:花びらの縁が欠けたり、半透明になっていたりしないか見てみましょう。つぼみの場合は、少し色がついてふっくらしているものが、きれいに咲いてくれますよ。
まずはこの3点を意識するだけで、長く楽しめる元気な花と出会える確率がぐっと上がります。
プロの技を少しだけ。日常を彩る花の飾り方レッスン
お気に入りの一輪を見つけたら、いよいよお家に飾ってみましょう。
ほんの少しのコツで、ぐっと素敵に見えるようになりますよ。
まずはここから!「一輪挿し」をとびきり素敵に見せる黄金比
空間コーディネーターとしてお伝えしたいのが、花と花瓶のバランスです。
基本となる黄金比は「花:花瓶=1:1」。
花瓶から出ている花の長さと、花瓶自体の高さを同じくらいにすると、誰でもバランス良く飾ることができます。
慣れてきたら、あえて茎を長く残してスタイリッシュに見せたり、短くして可愛らしい印象にしたりと、バランスを崩して遊んでみるのも楽しいですよ。
特別な花瓶がなくても大丈夫。
飲み終えたジュースの瓶や、形のきれいなグラス、ジャムの空き瓶なども、素敵な一輪挿しになります。
空間が華やぐ「飾る場所」の選び方
どこに飾るかによって、花の表情も変わってきます。
- 玄関:お客様や家族を迎える場所には、明るく華やかな色の花がおすすめです。「おかえりなさい」の気持ちを込めて。
- リビング:家族が集まる場所には、季節を感じる花を。会話のきっかけにもなります。
- キッチン:家事をしながら視界に入る場所に。小さなグリーンを置くだけでも、気分がリフレッシュされます。
- 寝室:リラックスできる優しい色合いの花を。心地よい眠りへと誘ってくれるかもしれません。
HowTo:花瓶に生ける前の大切なひと手間「水揚げ」
買ってきた花を長持ちさせるために、欠かせないのが「水揚げ」という作業です。
これは、お花が水を吸い上げるためのストロー(道管)をきれいにしてあげる、大切なひと手間なんですよ。
- 準備するもの
清潔なハサミ(できれば園芸用)と、水を張ったボウルやバケツを用意します。 - 水の中で茎を切る
水のなかで茎の先端を1〜2cm、スパッと斜めにカットします。こうすることで、切り口から空気が入るのを防ぎ、お花が水を吸いやすくなります。 - 余分な葉を取り除く
花瓶の水に浸かってしまう部分の葉は、手で優しく取り除きましょう。葉が水に浸かると、水が腐りやすくなる原因になります。
たったこれだけで、花の持ちが格段に変わってきます。
もっと長く楽しむために。花と仲良くなるお手入れ術
せっかく出会えた大切なお花。
少しでも長く、その美しい姿を楽しみたいですよね。
愛情を込めてお世話をすれば、花はきっと応えてくれます。
毎日のちょっとした習慣で、花のいのちは輝き続ける
理想は、毎日お水を替えてあげること。
そのときに、花瓶の内側のぬめりもきれいに洗い流してあげましょう。
そして、2〜3日に一度、先ほどの「水揚げ」と同じように、水の中で茎を少しカットしてあげると、水の吸い上げが良くなり、さらに長持ちします。
「おはよう」「きれいだね」と声をかけてあげるのも、おすすめです。
植物も生き物ですから、きっとあなたの優しい気持ちが伝わりますよ。
プロがこっこり使う長持ちの裏ワザ
お花屋さんで売っている延命剤を使うのが一番ですが、もし手元になくても大丈夫。
ご家庭にあるもので代用できる、ちょっとした裏ワザをご紹介しますね。
- キッチンハイター(塩素系漂白剤)を1滴:強力な殺菌効果で、水中のバクテリアの繁殖を抑え、水の腐敗を防ぎます。入れすぎは禁物です!
- お酢を数滴:お酢にも殺菌効果があり、水を清潔に保ってくれます。
- ピカピカの10円玉を数枚:10円玉から溶け出す銅イオンには、水の腐敗を防ぐ抗菌作用があります。
私もイベントで大量の花を管理するときは、衛生管理に特に気を使います。
ご家庭では、これらの裏ワザを一つ試してみるだけでも、効果を実感できるはずですよ。
よくある質問(FAQ)
最後に、ワークショップで生徒さんからよくいただく質問にお答えしますね。
Q: 花のある暮らしって、お金がかかりませんか?
A: まずは一輪からなら、カフェのコーヒー1杯分ほどの金額で始められますよ。
スーパーのお花コーナーや、最近では100円ショップのグリーンでも素敵なものがたくさんあります。
大切なのは金額ではなく、暮らしに彩りを添えたいというあなたの気持ちです。
Q: どんな花瓶を選べばいいか分かりません。
A: 最初の一つとしておすすめなのは、口が少しすぼまった、透明なガラスの瓶です。
どんなお花にも合わせやすく、水の汚れも一目で分かるので、お手入れの習慣もつきやすいですよ。
先ほどもお話ししたように、ジャムの空き瓶や牛乳瓶でも十分おしゃれに飾れます。
Q: 忙しくて毎日お世話できるか心配です…
A: そのお気持ち、よく分かります。
でしたら、最初は枝ものや葉ものなど、比較的長持ちするグリーンから始めてみてはいかがでしょうか。
また、最近は手軽に始められるお花のサブスクリプションサービスもあります。
まずは週末だけ、など無理のない範囲で「花時間」を楽しんでみてくださいね。
Q: 虫が苦手なのですが、大丈夫でしょうか?
A: お花屋さんで売られている切り花は、生産者さんがきちんと管理されているので、虫がついていることはほとんどありません。どうぞご安心ください。
もし心配な場合は、購入時に店員さんに確認したり、飾る前に葉の裏などを軽くチェックしたりすると、より安心ですね。
Q: 花を飾ると、どんないいことがありますか?
A: 科学的にもストレスを和らげたり、リラックスさせたりする効果が証明されています。
そして、私がイベントで見てきた経験から何よりお伝えしたいのは、花を飾ることで自分自身を大切にする時間が増え、心が豊かになる方が本当に多い、ということです。
ぜひ、あなたもその素敵な効果を実感してみてください。
まとめ
「花のある暮らし」は、決して特別なことではありません。
日常の延長線上にある、小さな喜びの積み重ねです。
イベントで涙を流したあの女性のように、あなたも花との出会いを通じて、新しい自分を発見できるかもしれません。
道端に咲く小さな花に心が動いたり、季節の移ろいに敏感になったり…。
たった一輪の花が、あなたの毎日を、そして人生を、より豊かに彩る最初の一歩となることを、私は心から願っています。
いつかイベントで、あなたとお会いできるのを楽しみにしていますね。